伝統工芸と現代デザインが融合するイタリアのアートタイル工房

良質な陶磁器の町として300年以上にわたり世界的に知られてきた北イタリアの町Nove。2013年に同町に設立されたBotteganove(ボッテガノヴェ)は、地域の伝統的な手仕事の価値を再発見しつつ、現代の優れたデザイナーと「伝統と革新の融合」を推し進め、陶芸の価値と美しさを進化させ続けています。

About BotteganoveBotteganoveについて

Beginning

1700年代から陶芸の地として知られるノヴェ。この土地に根付く伝統工芸を礎に、クリスチャン・ペゴラーロは自身のものづくりをスタートさせました。陶器や石膏型、焼成窯に囲まれて育った彼は、現在Botteganoveの創業者として知られる若き起業家です。

同社は、イタリアが世界に誇る優れた技術のひとつであるセラミックおよび磁器モザイクの製造に特化し、柔軟かつ革新的なデザインプロセスを確立してきました。こうした姿勢が評価され、オーダーメイドのプロジェクトに最適なパートナーとして多くの支持を得ています。

重厚な存在感を持つBotteganoveのタイルは、現代的でありながら内容豊かでデザイン性に優れ、職人技の歴史が染み込んだ空間演出を可能にします。玉虫色の輝きや金箔で彩られたアーティスティックな陶製の壁面装飾や、磁器のマットな質感を活かした繊細なテクスチャーは、その一例です。

クリスチャン・ペゴラーロとBotteganoveは、古来の職人技と現代的な視点を融合させることで、建築家や顧客の多様なニーズに柔軟に応え、あらゆるプロジェクトに対応できる体制を整えています。

その背景には、多くの職人製品に見られる「画一的な形」と「個性の欠如」への問題意識がありました。そこから彼は新たな手法を模索し始め、これまでにない革新的なコレクションを次々と生み出すに至ったのです。

History

ノヴェは、北イタリア・ヴィチェンツァ県に位置し、ヴェネツィアの内陸部、バッサーノ・デル・グラッパ近郊にある町で、18世紀以来芸術的な陶器の生産地として名を馳せてきました。地中から採れる豊富な原材料と、多くの水路の存在が、この地域での手工業の発展を後押しした要因のひとつです。

17世紀、ヨーロッパで中国の高級陶磁器への需要と流通が高まったことで、オランダの陶工たちはその模倣を始め、やがてヴェネツィア共和国の市場にも進出してきました。これに対抗する形で、ヴェネツィア元老院はさまざまな支援策や優遇措置を講じ、地元の陶器・磁器産業を保護・育成しました。

こうした歴史的背景のもと、ノヴェでは職人によるセラミックと磁器の伝統が開花し、何世紀にもわたって他に類を見ない独自の存在感を築いてきたのです。

Collectionsコレクション

Micromosaico

Design: Botteganove Studio
小さな正方形や円形のタイルは、その質感と配色によって、貴重な表情を持つ表面を生み出します。Micromosaico(ミクロモザイコ)のタイルは、縁や角に面取りが施されており、職人技を感じさせる特徴となっています。磁器質ストーンウェアで作られており、光沢仕上げとマット仕上げの両方と美しく組み合わせることができ、シャワールーム、プール、スチームルームなどの空間を引き立てる、ユニークな装飾構成を可能にします。

Petali

design: Angelo Spagnolo
洗練された五角形タイルの精巧な組み合わせによって、反射に富んだ調和のある躍動的な表情が生まれます。Petali(ペタリ)コレクションのデザインは、柔らかな角度とわずかな凹みを特徴としており、フォルムの立体感を際立たせています。驚きのある質感をもつ、セラミックの風景を演出します。

Moko

Design: Chiara Andreatti
リズムと立体感を通じて、セラミックの表現力を探求するためにデザインされた、ダイナミックで洗練された壁面装飾。
Moko(モコ)モジュールの表面は、独自のギザギザと滑らかなレリーフによって際立ちます。遊び心のある組み合わせによって、強い表現力を持つ壁面を創り出すことが可能です。

Perspectives

Design: Angelo Spagnolo
厳格なデザインと繊細な非対称性、そして3つのモジュールに分割された正方形フォルム。
Perspectives(パースペクティブス)シリーズは、わずかに凹んだ立体的なタイルで構成されており、表面には中心からずれた消失点がデザインされています。このディテールにより、非常に汎用性の高いセラミックモザイクに、意外性のある遠近感が生まれます。

Salomè

Design: Adam Nathaniel Furman
“美の線”とも称される蛇行する曲線を称え、それをセラミックの優雅さで立体的に表現したコレクション。Salomè(サロメ)のタイルは、光を捉え、常に変化し続ける表情を見せる官能的な曲面を備えています。さらに、左右で異なる色や仕上げにすることも可能で、その強い動きが生み出す効果は実に印象的です。

Flora

Design: Chiara Andreatti
自然界に着想を得た幾何学が、インスピレーションであると同時に、装飾的な要素としてセラミック表面に昇華されています。繊細なレリーフが、職人の手仕事による唯一無二の痕跡を優雅に際立たせます。
Flora(フローラ)コレクションは、豊富なフォーマットと色の組み合わせにより、高いカスタマイズ性を誇ります。

Haiku

Design: Studiopepe
直線のパターンとセラミックの質感が、3つの異なる形状で出会うデザイン。
Haiku(俳句)は、自由な構成へのエレガントなオマージュです。各モジュールの幾何学的フォルムは、組み合わせ次第で常に異なるパターンを生み出し、その魅力と柔軟性で見る者を魅了します。

New Town

Design: Adam Nathaniel Furman
滑らかな面とリブ状の面を持つ、さまざまな形状のモジュールが組み合わさることで、独創的で躍動感があり、大胆かつ洗練された表情を生み出すNew Town(ニュータウン)コレクション。色彩の効果も相まって、構造と質感、秩序と個性が絶妙に調和する、綿密に計算された構成の美しさを演出します。

Diamantino

Design: Botteganove Studio
バランスの取れたプロポーションを持つ菱形のファセット(切子面)と、構成と色の遊びの中で解釈されるモジュール性のテーマ。
Diamantino(ディアマンティーノ)のモジュールは、ヘリンボーン柄に配置することも可能で、筆で塗り分けられた2色の釉薬を用いることで、独自性とカスタマイズ性に富んだ印象的な壁面を演出します。

Barene

Design: Zanellato/Bortotto
Barene(バレーネ)は、ヴェネツィアのラグーンとその自然、形、色彩へのデザインオマージュとして生まれたコレクションです。
まるで陶器の上に描かれた風景のように、4種のパターンと2つのフォーマットで展開され、揺らめくレリーフや水の動きを思わせる表情、そして移ろいゆく独特の色調が、インスピレーション源となった干潟の情景を想起させます。

Clinker

Design: Botteganove Studio
セラミックのクラシックな形状のひとつである六角形タイルが、ここでは立体的なフォルムと手作業による筆塗り仕上げによって、ひときわ際立っています。
Clinker(クリンカー)という名称は、伝統的な煉瓦素材を想起させ、その特徴であるガラス質の表面を彷彿とさせます。釉薬には特別なニュアンスを持つ色合いが施され、独自の存在感を放つタイルです。

Plumage

Design: Cristina Celestino
印象的でありながら端正、そしてどこか詩的でもある独創的なデザインが、動植物の優雅なフォルムにオマージュを捧げるコレクション。
Plumage(プルマージュ)は、異なるプロファイルを持つ2つのフォーマットで展開されており、職人技による立体的な質感が光を受けて揺らめき、屋内外を問わず空間を美しく引き立てます。

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